住宅協会 松原団地

住宅協会 松原団地
福岡市東区箱崎5
竣工 1952(昭和27)年度
撮影 2004年11月
備考 現存せず
この団地は幹線道路沿いに建っていて、私が本格的に団地巡りを始める前から、通りかかるたびにその古めかしいデザインには漠然と興味を覚えていました。調べてみると昭和27年の建設とのことで、この写真の撮影時点で築50年を経ていたわけですが、外壁やサッシュはきれいに補修が施され、まだ十分に住めそうな印象を受けました。しかし、今年になって隣に高層棟が竣工して松原団地はついに解体されてしまいました。
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松原団地に限らず住宅協会の初期の団地では階段室型と片廊下型の住棟の混在がよく見受けられます。また、この写真のように左の住棟は階段室が南側に、右の住棟は廊下が北側にあるというプランからは、出入りする空間を対面させることで住民のコミュニケーションを促そうとした狙いが読み取れます。このような対面プランはかつて全国的に行われていましたが、居室の南面を重視する考えからか次第に南入り住棟が計画されなくなり、対面プランも消えていきます。

公営住宅標準設計51CS型の南立面。階段室開口部を市松状などのパターンにする点が福岡県住宅協会のデザインの特徴なのですが、昭和20年代の住棟にはまだそれは見られません。

階段室の両サイドに設けられたダストシュートが階段室部分を塔のように見せることを強調しており、機能的な立面でありながらどこか古典的なイメージを帯びています。

これはちょっと珍しい52C型。現在では3階建という低層とも中層とも言える中途半端な階数の住棟は滅多にありませんが、昔の団地ではけっこうよく見かけます。何階建が適当なのか、この頃はまだ模索していた感がありますね。

北立面。訪れた時は階段室に立ち入らなかったのでよく見なかったのですが、階段室とバルコニーを連続させて空間が住棟を貫通していたようです。

50D型の北立面。現在の片廊下型では1階廊下と外部は腰壁で隔てられ、1階でも共用玄関→廊下→各住戸の動線を辿るのが一般的です。ところが、松原団地では1階の廊下に腰壁がなく、外部から住戸に直接アクセスできるプランになっているので、開放的な印象を受けます。


南立面。

出窓のおかげで立面に表情が生まれていますね。エアコンの室外機も妙にマッチしています。


隣棟間の空地にあったこの建物、集会場かと思ってよく見たら扉に「男・女」と書いてあったので浴場だと気付きました。団地内に共同浴場があるのは初めて見ました。モダニズム云々というよりコストの問題か、無骨な外観ですね。階段踊り場を片持ち梁で支えている点が見せ場。
松原団地では50D住棟は浴室がありませんし、51CSと52C住棟の浴室も機能的にはおそらく不十分だったので共同浴場を設置したと思われます。住戸に内風呂が普及する以前は団地内に共同浴場(銭湯)を設ける例はしばしばありました。なお、私が訪れた時点(2004年11月)で共同浴場が使われていたかは不明。たぶん、後年の改修で各住戸に浴室が設置されていたでしょう。とはいえ、この建物を見るとどうも最近まで使われていたっぽい。

松原団地に限らず住宅協会の初期の団地では階段室型と片廊下型の住棟の混在がよく見受けられます。また、この写真のように左の住棟は階段室が南側に、右の住棟は廊下が北側にあるというプランからは、出入りする空間を対面させることで住民のコミュニケーションを促そうとした狙いが読み取れます。このような対面プランはかつて全国的に行われていましたが、居室の南面を重視する考えからか次第に南入り住棟が計画されなくなり、対面プランも消えていきます。

公営住宅標準設計51CS型の南立面。階段室開口部を市松状などのパターンにする点が福岡県住宅協会のデザインの特徴なのですが、昭和20年代の住棟にはまだそれは見られません。

階段室の両サイドに設けられたダストシュートが階段室部分を塔のように見せることを強調しており、機能的な立面でありながらどこか古典的なイメージを帯びています。

これはちょっと珍しい52C型。現在では3階建という低層とも中層とも言える中途半端な階数の住棟は滅多にありませんが、昔の団地ではけっこうよく見かけます。何階建が適当なのか、この頃はまだ模索していた感がありますね。

北立面。訪れた時は階段室に立ち入らなかったのでよく見なかったのですが、階段室とバルコニーを連続させて空間が住棟を貫通していたようです。

50D型の北立面。現在の片廊下型では1階廊下と外部は腰壁で隔てられ、1階でも共用玄関→廊下→各住戸の動線を辿るのが一般的です。ところが、松原団地では1階の廊下に腰壁がなく、外部から住戸に直接アクセスできるプランになっているので、開放的な印象を受けます。


南立面。

出窓のおかげで立面に表情が生まれていますね。エアコンの室外機も妙にマッチしています。


隣棟間の空地にあったこの建物、集会場かと思ってよく見たら扉に「男・女」と書いてあったので浴場だと気付きました。団地内に共同浴場があるのは初めて見ました。モダニズム云々というよりコストの問題か、無骨な外観ですね。階段踊り場を片持ち梁で支えている点が見せ場。
松原団地では50D住棟は浴室がありませんし、51CSと52C住棟の浴室も機能的にはおそらく不十分だったので共同浴場を設置したと思われます。住戸に内風呂が普及する以前は団地内に共同浴場(銭湯)を設ける例はしばしばありました。なお、私が訪れた時点(2004年11月)で共同浴場が使われていたかは不明。たぶん、後年の改修で各住戸に浴室が設置されていたでしょう。とはいえ、この建物を見るとどうも最近まで使われていたっぽい。
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