キャナルシティ博多、ナム・ジュン・パイクのビデオアート復旧
複合商業施設 #キャナルシティ博多 (福岡市博多区)にある #ナム・ジュン・パイク のビデオアートが2021年8月に復旧した。その経緯や復旧後の状態を簡単に説明する。 pic.twitter.com/CZ1pzIZmFv
— タケ@ALL-A (@take_all_a) October 3, 2021
ナム・ジュン・パイク(Nam June Paik 白南準、1932~2006)は日本統治時代の朝鮮の京城(ソウル)で生まれ、戦後、アメリカを拠点に国際的に活動した現代アーティスト。ビデオアートの先駆者とされる。https://t.co/N9YeiyZMqQ
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キャナルシティ博多のパイクのビデオアート作品《Fuku/Luck,Fuku=Luck,Matrix》は、1996・H8の開業時に設置されたパブリックアートだ。縦10台、横18台、合計180台ものモニターを使った大作で、国内最大級だという。 pic.twitter.com/qP4cZTXBu2
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しかしモニターは経年劣化してやがて映らなくなるもの。2017年はご覧の状態だった。1台また1台とブラックアウトしていき、生き残りのモニターも歪んだり変色した映像が流れるばかり。高所に設置されたモニターの交換は容易ではなく、放置するしかなかったのだろう。 pic.twitter.com/F96mLs49ME
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ただ、もともとパイクの作品はサイケデリックなので、映像がモニターの劣化で歪んでいるのか本来の内容なのか、正直言ってよく分からなかったw まあ、それはともかく…
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このキャナルシティ博多の作品をはじめ、パイクが活動した時代のモニターはブラウン管である。現在はほとんど生産されていないし、デッドストックの入手も難しい。ビデオアートの維持は無理かと思われた。ところが…
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2019年、画面が広告で覆われてビデオアートの上映が終了するが、キャナルシティ博多は公式サイトで「修理のため調査分析中」と発表。その後、全モニターが撤去。そして2020年1月、新しいモニターが設置された。180台ものブラウン管をどこからか調達したのだ。 pic.twitter.com/xyM4JQHcRA
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新しいブラウン管モニターの設置後も画面は沈黙した状態がしばらく続く。ここまでの過程は以前にモーメントにまとめているので参照されたい。https://t.co/pw5Nyu3BtK
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2021年7月、試験上映を実施中との情報がツイッターに寄せられる。私も目撃したが(写真は撮っていない)、あれこれ調整中のようでブルースクリーンの部分が多く、不定期でごく短時間の上映にとどまっていた。https://t.co/kDu0BldjkE
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このような過程を経て2021年8月下旬から遂に本来の映像が流れるようになった。パブリックアートだし現地に撮影禁止の掲示がないので動画を上げても構わないと思うが、著作権上マズいようなら削除する。 #ナム・ジュン・パイクhttps://t.co/GQCpt6Jpts
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これほどの規模だと、ビデオアートというより〈変化する壁画〉という感じ。 pic.twitter.com/zpjS7UqA8P
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素人的には、映像が再生できれば装置はLEDや液晶ディスプレイでもいいじゃんと思うが、ブラウン管への拘りからは、ナム・ジュン・パイクのビデオアートはブラウン管でなければオーセンティシティ(真正性)が保てないとの判断がうかがえる。 pic.twitter.com/Yhh0GF4je9
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なお、以前はキャナルシティ博多の営業中は常時上映していたのに対し、復旧後は12時・15時・18時からの1日3回、各回1時間という制約付きの上映に変わった。ブラウン管を長持ちさせるための措置と思われる。 pic.twitter.com/gpqo32X7jQ
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キャナルシティ博多における設置場所は、センターウォークとビジネスセンタービルの間のアトリウムだ。竣工当初、このアトリウムは博多駅方面から歩いて来た人のメインエントランスにあたり、入ると正面にビデオアートが見える位置関係にあった。 pic.twitter.com/aXXzfyLXMG
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しかし、後年にイーストビルが増築されてセンターウォークとの2階レベルに連絡橋が架かったことで、アトリウムを通過せず入場できるようになった。この辺は店舗が少ないこともあり、ビデオアートを注視する人はほとんどいないのが実情だ。言い換えれば落ち着いて観賞できる環境にある。 pic.twitter.com/DfyoN3C2yX
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ビデオアートの真下にスタバがあるが、店舗前のスペースから見えにくいんだよね。注:流れている音楽は噴水ショーのもの。ビデオアートは無音。https://t.co/YGl3W18JU9
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ともあれ、入手困難なブラウン管を大量に調達してまでビデオアートを復旧させた関係者の尽力に敬服する。復旧費用は、作品の所有者(だよね?)でキャナルシティ博多の事業主である福岡地所が出したのだろうか。 pic.twitter.com/Bhq0JmofBs
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