博多リバレインの可動橋
#博多リバレイン は福岡市博多区にある大型複合施設だ。設計は日建設計等で構成されたJVで、1998・H10年に竣工した。ショッピングモール、美術館、劇場、ホテルなどが入っている。 pic.twitter.com/5DhJKihyYE
— タケ@ALL-A (@take_all_a) August 7, 2021
博多リバレインは、博多座・西銀ビル、リバレインセンタービル、ホテルオークラ福岡ビルの3棟で構成されている。そのリバレインセンタービルとホテルオークラの間のアーケード内に架かる橋に施された “ある仕掛け” について紹介したい。 pic.twitter.com/Lz8tuolnMr
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私は今年(2021・R3)の #博多祇園山笠 の期間中に博多リバレインに設置された飾り山を見に行き、高い位置から撮ろうとこの橋に移動した。手すりなどが漢字で覆われているのは、橋自体がパブリックアートでもあるから。 pic.twitter.com/RugIwTvbzD
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博多リバレインの飾り山については前回のモーメントを参照されたい。https://t.co/qcg4TlNlS4
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さて見学中、橋の近くに作品のキャプションがあることに初めて気が付いた。タイトルは「千字橋」、作者は韓国の鄭廣鎬(チョン・クワンホー)。説明文にはこの橋が可動橋であり、博多祇園山笠のときに跳ね上がる旨が書かれている。え? 可動橋!? pic.twitter.com/bl6Zb06Jpy
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なんと、これって跳ね橋(跳開式可動橋)だったのか! 全然知らなかった。地元でもあまり知られていないだろう。確かに可動橋だと知った上で見ると、片方の橋台のみ極端に大きいのは回転軸を収めるためだと分かる。 pic.twitter.com/gkgbDO7Wke
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橋桁を吊り上げるワイヤーはどこかなと見回すと… モール側の外壁に発見。可動時は端部が降りてきて橋桁の反対側に繋ぎ、巻き上げる仕掛けだ。巻き上げ機は建物内部に設置と思われる。 pic.twitter.com/ZSVNJ9Lxir
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橋の両端はチェッカープレートに覆われている。今までエキスパンションジョイントのカバー代わりだと思っていた。手前が回転軸側。 pic.twitter.com/ev6aRQgSPb
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回転軸側の橋桁と建物本体の手すりの納まり。 pic.twitter.com/Baw47q3SC3
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先端側の橋桁と橋台の納まりを下から見る。 pic.twitter.com/oinWZn3d82
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この可動橋が動くのは7月の博多祇園山笠のときに限られる。詳しく述べると、舁き山を持つ七流のうち博多リバレインを区域に含む大黒流の舁き山がアーケードを通るときのみ跳ね上がる。実際に通過するのは山笠の期間中、3回程度だ(2020・21はコロナ禍で舁き山は中止)。 pic.twitter.com/0UA7Hso9IG
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橋が跳ね上がる場面の動画や写真を探したものの、ごく少数しか見つからなかった。やはり山笠関係者や山笠ウォッチャーの関心は舁き山であって、可動橋というマニアックなポイントに注目する人は少ない。まあ、そうだよね。
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この動画に可動橋が跳ね上がる場面がはっきり映っている。
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2019年(令和元年)博多祇園山笠『流れ舁き』「四番山・大黒流」と『博多リバレイン』飾り山 https://t.co/1ewZE04eu1
また、JUMAさん @juma_nik のブログでも取り上げていた。記事をアップしたのは2005年だが、実際の撮影日は1999年。つまり初めて橋が可動したときに取材されている。すごい!
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梅ヶ枝 > 開かずの跳ね橋 https://t.co/RPhtKUMP4Q
博多リバレインの広報誌『博多ば日記』の2019年春号にも、跳ね上がった橋とその下を通過する舁き山の写真とともに、建築的な説明が載っている。https://t.co/XBd74VJxnT 注PDF
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『博多ば日記』によると、
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1) 道の幅(アーケードの幅員)は山笠が通ることを考慮して決めた。
2) 橋が上がっていなくても舁き山は橋に接触しないが、ご神体である山笠の上に見物客がいることを避けるため可動式にした。
大型複合施設 博多リバレインの設計にあたって地元の要望が反映されたのは、このプロジェクトが下川端地区・下川端東地区第一種市街地再開発事業だから。
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いやー、博多リバレインが竣工して20年以上も経つのに可動橋の存在を知らなかった自分の無知に恥じ入るばかりだ。建築と可動橋が好きな自分としては、もっと早く気付くべきだった。コロナ禍が終息して舁き山が再開されたら、橋が動くところをぜひこの目で見たい。
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補足すると、祭りのときだけ動く可動橋には愛知県蟹江町の御葭橋(みよしはし)という先行事例がある。御葭橋の場合、可動に必要な巻き上げ機やワイヤー等は常備せず、祭りの度に取り付けるという方法を採る。https://t.co/Va46Hd7JHu
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博多リバレインの可動橋で特筆すべきは、実は跳ね上げなくても舁き山は橋桁に接触しない点だ。ならば、ご神体の真上に人がいることを避けるには舁き山の通過時のみ橋の両端に規制線を張れば済む。にもかかわらず可動橋を採用したのは、マナーを守らない不心得者を憂慮したのだろうか。
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明治時代に電線が普及すると、接触を避けるため、博多祇園山笠における山笠は観賞用の背が高い飾り山と、実際に動かす背が低い舁き山の二種類に分かれた。今回の写真に写っているのは飾り山の方。 pic.twitter.com/y3DUnHNEew
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それにしても、年に2~3回しか動かさない可動橋とはコスト的にかなり贅沢な話だ。しかもパブリックアートとしても相当に金と手間をかけている。 pic.twitter.com/ZEEFVp0PGZ
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博多リバレインの実施設計期間はたぶんバブル崩壊後だと思うが、1990年代の建築はまだ余裕があるね。もっとも、地元では周知の通り、バブル景気の感覚を引きずったまま計画を進めた結果、施設内のショッピングモールは不振に苦しむことになる。
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