「菊竹清訓 山陰と建築」展
島根県立美術館(島根県松江市)で開催された「菊竹清訓 山陰と建築」(会期 2021/1/22〜3/22)を見てきた。建築家 菊竹清訓氏(1928・S3〜2011・H23)が設計した建築や彼の思想を紹介する企画展だ。 pic.twitter.com/Dcrj3YjNaw
— タケ@ALL-A (@take_all_a) March 4, 2021
展示方法は、模型や図面を通じて建築家の実績を紹介するというオーソドックスな形式だった。建築展の手法はいろいろ模索されているが、本展は一般市民も閲覧する公立美術館の企画展なのでオーソドックスでよいと思う。 pic.twitter.com/Cn25P6DW7y
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本展を見て強く感じたのが、山陰における菊竹建築への愛情だ。菊竹さんの建築は先鋭的であるが故に、延命できず解体されたものが少なくない。一方、山陰では島根県出雲市にあった出雲大社 庁の舎(写真)は雨漏り等の不具合を理由に解体されたものの、それ以外は良好な状態で使われている。 pic.twitter.com/4nnq7l4Bwt
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良好な状態が保たれているのはもちろん、所有者がメンテナンスを実施して大事に扱ってきたからに他ならない。特に島根県の公共施設群については、同県営繕課による菊竹デザインを尊重した補修・改修によるところが大きい。 pic.twitter.com/tEToRoizcx
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さらに、安田臣(やすだかたし)氏が設計した島根県庁舎(写真)や島根県民会館もメンテが行き届いている。この本庁舎や菊竹さん設計の旧島根県立博物館(現 島根県庁第三分庁舎)は、戦後の公共建築としては数少ない登録有形文化財(2019年)になっている。 pic.twitter.com/sB7I0hJn3l
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登録有形文化財に解体を規制する拘束力はないが、登録したのは今後も大切に扱うという島根県なりの意志表明と受け取れる。県庁周辺の整備計画を進めた田部長右衛門知事の遺志が、現役の県職員に継承されているということだろうか。写真は島根県庁第三分庁舎のプレート。 pic.twitter.com/5Sj37pwtL4
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付け加えると、民間の建築である東光園(鳥取県米子市)も登録有形文化財だ(2017年)。 pic.twitter.com/BR3K48CWCb
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島根県美で菊竹展を見て、松江市内をはじめ島根・鳥取に点在する実作を見て回る─ 建築家の企画展と実際の建築をまとめて見学できる機会は、なかなかやってこない。コロナ禍の状況で人に遠出を促すのは憚られるが、建築好きならこの機会を見逃すのはもったいない、と言っておく。 pic.twitter.com/Wo8Dm5nB24
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「菊竹清訓 山陰と建築」展の続き。初期の原図を見て、その線の美しさに驚いた。細くて均一で力強い線。遠目でインキングかと思ったが鉛筆で引いている。今まで建築展で昔の原図はいくらか見てきたが、菊竹事務所の図面の線は神懸かっていると思う。
— タケ@ALL-A (@take_all_a) March 5, 2021
鉛筆であんな細くてキレイな線を引き続けるには、針のように尖らせた鉛筆を何本も用意し、先がちょっと太くなったらすぐ切り替えたんだろうなあ。
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そして本展の目玉が、菊竹さんの自邸スカイハウスの屋根を原寸で再現した模型だ。正式名称は「1/1スケール模型 スカイハウスの屋根」(設計:島根県 + 太陽工業)。会場は基本的に撮影不可だが、原寸大スカイハウス模型だけは撮影可。 pic.twitter.com/adZjLzYJMX
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本物の屋根はコンクリートのHPシェルのところを、模型ではビニル膜に置き換えている。これは、テントが好きだった菊竹さんへのオマージュの意味が込められている。そして壁柱はスクリーンで表現。 pic.twitter.com/LjjqGzGqvW
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初期の頃から美術館に自然採光を取り入れていた菊竹さんは、島根県美でも展示室にトップライトを設けた(実際に使っているかどうかは分からないが)。この開口部を利用してスカイハウスの屋根を吊っている。 pic.twitter.com/6Cff1J967H
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カーペットを張り替え、主室と回廊の範囲を色違いで表現。 pic.twitter.com/LqHXxAn57C
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私の菊竹さんへの関心は、大胆な構想力や造形といった面に偏っていて、屋根にはあまり目が向かなかった。テント型やドーム型の屋根を有する菊竹建築は、内部体験が少ないこともあって、よく分からないままでいた。 pic.twitter.com/8O9kv3wqyF
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今回、菊竹建築の原点というべきスカイハウスの屋根下空間を体験できたのは大きな収穫だった。漠然とした印象だが、菊竹さんの屋根は〈架ける〉より〈覆う〉とか〈被せる〉という性格が強いのかなあ。 pic.twitter.com/dvnPkTDEwd
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菊竹さんの故郷である福岡県で「菊竹清訓 山陰と建築」の巡回展をしてほしいなあ。県内の美術館関係者の方、ぜひご検討を。初期作の久留米市美術館 / 旧 石橋美術館での開催が理想的だけど、その場合、スカイハウスの屋根を展示できるかどうかがネックだな。 pic.twitter.com/NYafT0ikbT
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同じく菊竹さんが設計した九州国立博物館ならスペース的には十分。ただ、あそこは古美術が中心だし、国立施設なので調整が難しいか(モダンデザインの小規模な企画展の前例はある)。 pic.twitter.com/8zwEY7daW3
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故郷の久留米市に近い筑後市の九州芸文館(設計は隈さん)はどうだろう。 pic.twitter.com/GaQMsjXr4c
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ブリヂストン関係の展示を増やして、石橋財団の後援をもらえないかしら。
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