建設中の(仮称)新阿蘇大橋
火山活動で生じた凹地をカルデラという。釜や鍋を意味するスペイン語に由来するそうだ。 #阿蘇 (熊本県)の場合は、27~9万年前にかけて発生した4回の大火砕流噴火で現在のカルデラが形成されたことが分かっている。写真は「道の駅 あそ望の郷くぎの」に展示されている阿蘇の地形模型。 pic.twitter.com/XA01Dqhowg
— タケ@ALL-A (@take_all_a) December 18, 2020
阿蘇の景観スポット「大観峰」の現地説明板より、カルデラの成り立ちを示す模式図。おおざっぱにいうと、マグマが噴出した後、地形が陥没して凹地が生じた。現在の中央火口丘群はカルデラ形成後に成長したものである。 pic.twitter.com/dAPwH0cbKS
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カルデラに雨水が溜まった状態がカルデラ湖で、阿蘇も太古の昔は湖があった。湖が無くなったのは、外輪山の切れ目から川となって流れ出たからである。外輪山の切れ目を火口瀬といい、阿蘇においては地名から立野火口瀬という。火口瀬は断層の活動で地形が落ち込んだことで生じた。
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Googleマップの3Dモードで阿蘇カルデラを俯瞰する。左が北。中央火口丘群の北側は阿蘇谷、南側は南郷谷と呼ばれる。南郷谷を流れる白川が阿蘇谷を流れる黒川と立野で合流、外輪山の外に流れ出た白川は熊本市を経て有明海に注ぐ。 pic.twitter.com/g146TgmAVd
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立野火口瀬には地形の浸食によって立野渓谷という深い谷が生じ、谷底を川が流れている。この立野渓谷は近代から現代にかけて橋梁技術を駆使した複数の橋梁が架けられてきた。主な橋は道路橋の阿蘇大橋と阿蘇長陽大橋、鉄道橋の立野橋梁と第一白川橋梁の4本である。
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2016・H28の熊本地震による4橋の被災状況は次の通り。阿蘇大橋:崩落(別の場所に架け替え工事中)、阿蘇長陽大橋:損傷(復旧)、立野橋梁:損傷(復旧)、第一白川橋梁:損傷(同じ場所に架け替えの予定)。
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立野渓谷の4つの橋梁群から今回は(仮称)新阿蘇大橋を紹介したい(以下、基本的に仮称は省略する)。地震で崩落した旧橋から600m離れた位置に建設中だ。写真は阿蘇長陽大橋から見た新阿蘇大橋。撮影は2020・R2年6月。 pic.twitter.com/h5ctgrpauh
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Googleマップの3Dモードで見た立野火口瀬のキャプチャに阿蘇大橋、新阿蘇大橋、阿蘇長陽大橋、立野橋梁、第一白川橋梁の位置を記入。また、熊本地震で被災した黒川第一発電所と東海大学阿蘇校舎、さらに地震とは関係無いが建設中の立野ダムの位置も記しておく。 pic.twitter.com/ZZETawshyP
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前掲キャプチャの構図をもう少し拡大して阿蘇大橋、新阿蘇大橋、阿蘇長陽大橋の位置関係を示す。 pic.twitter.com/fgfvVsIJa8
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改めて簡単に経緯を述べると、初代の阿蘇大橋は1970・S45年に竣工した。形式は鋼製アーチ橋(正確には上路式トラスド逆ランガー桁橋)。国道325号の道路橋として立野峡谷を流れる黒川の上空に架かっていた。写真はウィキペディアから引用。 https://t.co/NSkFx9dvhP pic.twitter.com/m2soyGFqTk
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2016・H28年4月に発生した熊本地震で橋脚を支える地盤がズレたため、この初代・阿蘇大橋は崩落してしまった。落ちた橋桁等は現在も斜面に残っている(私は未見)。
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熊本地震 震災ミュージアム 記憶の回廊 > 阿蘇大橋(残った橋桁等) https://t.co/yfXJW4bePw
そして、同じ場所での再建は困難との判断から約600m下流の阿蘇長陽大橋付近が架け替え場所に選ばれた。新阿蘇大橋は2017・H29年に着工、2021・R3年3月の完成を目指して工事が進んでいる。形式はPCラーメン橋(正確にはPC3径間連続ラーメン箱桁橋)、長さ345m(アプローチ部を除く)、最大支間長165m。 pic.twitter.com/8Y00G5mn8R
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私が現場を訪れた2020年6月時点では橋桁はまだ繋がっていないものの、同年9月に繋がった。これほど大規模な橋梁にもかかわらず全体的に進捗が速いのは、24時間体制で施工しているから。 pic.twitter.com/lSUgD0IB0e
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阿蘇長陽大橋から撮影した新阿蘇大橋の現場の全景。阿蘇長陽大橋の新阿蘇大橋側は歩道が無いので、行き交う車が途切れたタイミングで車道を横断して素早く撮影し、すぐ歩道に戻るという撮り方になる。自分が撮っておいて何だが、この撮影場所は危ないのでお勧めしない。 pic.twitter.com/63jl3MzqzM
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中央の橋脚上部。 pic.twitter.com/H6ghuhN2xX
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新阿蘇大橋の東側。右に施工用のインクラインが見える。中央奥の橋は南阿蘇橋で、その下に滝が流れている。 pic.twitter.com/5GtpkUf1vc
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東側インクラインのアップ。 pic.twitter.com/WKm1NUQvR2
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こちらは西側のインクライン。台車の寸法は 9m×14m、最大積載重量は 60t とのこと。 pic.twitter.com/mxL1WZKScq
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橋脚の下部と谷底を流れる黒川。柱状節理の露出が見て取れる。柱状節理とは溶岩が冷えて固まるときにできた規則正しい柱状の割れ目のことで、断面は六角形が多い。 pic.twitter.com/NYOOhdLl6q
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南阿蘇橋も熊本地震で伸縮装置やダンパーが損傷したものの、架け替えずに復旧したようだ。 pic.twitter.com/DckDZ9i99w
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南阿蘇橋が架かる峡谷の滝。現場では気付かなかったがよく見ると上の方は砂防ダムだ。よくこんなところに施工したな。 pic.twitter.com/xvNqFsYTIe
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新阿蘇大橋の最新情報については下記を参照のこと。
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国土交通省九州地方整備局 熊本河川国道事務所 > 熊本地震 道路復旧状況 > 阿蘇大橋架替(国道325号) https://t.co/ZuRPOXGYdd
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