2019年8月 瀬戸内旅行05 豊島の石の文化
2019年8月に瀬戸内国際芸術祭が主目的で行った旅行の報告、今回は豊島(てしま)で見かけた厨子(ずし)をはじめとする石の文化を紹介したい。その前に島の概要を。豊島は香川県土庄(とのしょう)町に属する瀬戸内海の島だ。人口は約800名。島内に3つの集落がある。 pic.twitter.com/9nVz3fp2eM
— タケ@ALL-A (@take_all_a) 2019年8月24日
さて、豊島を徒歩で移動中、このような石の構造物を見つけた。石臼か火鉢をひっくり返したような形状で、田の字状に穴が開いている。中を覗くと石仏が収まっていたので、小さなお堂といったところだろうか。 pic.twitter.com/JZnQsCiEEL
— タケ@ALL-A (@take_all_a) 2019年8月24日
花やお供え物から地元の人達が今も大切に守っていることが分かる。それにしてもこういうモノコックな石のお堂は初めて見る。何か名前はあるのだろうか。試しに「豊島 石堂」で検索すると次の記事がヒットした。
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KEIJI MORITA WEB SITE 森田桂治ウェブサイト > 豊島の石堂の謎 https://t.co/CcsZqAtcVJ pic.twitter.com/ZjTqsZFGiy
別のお堂。こちらの方が仕上げが丁寧というか、表面がさほど風化していない上、基壇がコンクリートなので、比較的新しいものと思われる。 pic.twitter.com/OdVA0fEoRv
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開口部から中を覗くと、観音像が収まっていた。 pic.twitter.com/QMk29fSVt0
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さらにあれこれ検索したところ次の記事を見つけた。どうやら厨子(ずし)と呼ぶのが適切のようだ。
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コトバスエクスプレス > 四国のおすすめ観光スポットをご紹介 > 豊島のお大師さん<香川県・豊島> https://t.co/lDWSto0FHQ
ウィキペディアによると「厨子は、仏像・仏舎利・教典・位牌などを中に安置する仏具の一種である。広義では仏壇も厨子に含まれる」。厳密にいうと厨子には観音開きの扉が付くのだが、扉が表現されていない豊島のこれも厨子と呼んでいいと思う。 https://t.co/xXASH85Xw4
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前述の記事によると、昔、四国霊場八十八ヶ所や西国三十三ヶ所巡り(近畿地方を中心とした観音信仰の霊場巡り)をルーツとする霊場巡りが豊島に設置された。その後、大正期にミニ西国三十三ヶ所巡りにまとまったらしい。
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よって、これら石造の厨子は、豊島における西国三十三ヶ所巡りの一部と思われる(本当に巡礼コースに含まれるかどうかは未確認)。写真は唐櫃岡(からとおか)地区にて。 pic.twitter.com/Ad1JkmMXXT
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なお、豊島は「豊島石」という石の産地としても知られる。石質は凝灰岩。厨子も当然、豊島石製だ。柔らかくて加工しやすいため、石燈籠などの石材に重用された。京都の桂離宮や二条城、大阪の住吉神社の石燈籠も豊島石とのこと。
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したがって島内には石材の採掘場があって、優秀な石工がいた。だから、あのように火鉢をひっくり返したような形状の厨子の製作も可能だったわけだ。しかし、石の産出は既に終了。石材の加工場は残っているらしいが。
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唐櫃公堂(唐櫃浜地区の集会所)の敷地内にある中野喜三郎像。豊島出身の石工で、東京に進出して重要な建設プロジェクトに携わった。つまり郷土の偉人。 pic.twitter.com/MKfA5mS7bY
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碑文によると、1859・安政6年に同地区で生まれ、父の元で石工の修行を積んだ後、東京で中野石材店を創業(その後、改称)。皇居眼鏡橋、日本橋、国会議事堂などの石材を手掛けた。 pic.twitter.com/f8vFJF0rTz
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中野石材店は変遷の末、現在はナカノフドー建設という。同社公式サイトに載っている沿革。 https://t.co/BWxYAnpIwE
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後は石関係の小ネタをいくつか。唐櫃浜(唐櫃港の集落)にある石造の蔵。そういえば石材の産地だった割に石造の建築物はこれしか発見できなかった。 pic.twitter.com/YHFtv5mcWH
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同じく唐櫃浜で見つけた石造の塀。 pic.twitter.com/Fx9MW0i5Mm
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唐櫃岡の集落、石積みの擁壁。漁港が唐櫃浜で、上の方にあるのが唐櫃岡。 pic.twitter.com/7TnSFm85Te
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ついでに触れておくと、豊島の隣の小豆島も石の産地で、大阪城の石垣は主に小豆島のものだ(これは知っていた)。写真は新岡山港のフェリーターミナル(岡山市)に置かれていた大阪城築城残石(小豆島に残された石)。 pic.twitter.com/jimG30Cevm
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