生野鉱山01
2019年3月の兵庫ツアーの件、ようやく鉱山自体の話に入る。生野鉱山(兵庫県朝来市生野町)の現地に到着してまず見えるのがこの石造門柱だ。 pic.twitter.com/3wkmidgxwM
— タケ@ALL-A (@take_all_a) 2019年4月12日
この門柱は1876(明治9)年に生野鉱山本部(現 三菱マテリアル生野事業所)の正門に設置されたもの。菊の御紋については、生野鉱山は1889〜96(明治22〜29)年まで宮内省御料局の所管だったので、その時期に付けられたのではないか。現位置への移築は閉山後の1977(昭和52)年。 pic.twitter.com/HhYkb0ZRdf
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生野鉱山の歴史を簡潔に述べると、807(大同2)年に銀山発見と伝えられるが、確証は得られていない。文献に明確な記録が残るのは1500年代以降である。江戸時代は天領、1868(明治元)年に日本初の官営鉱山となり、1889(明治22)年に宮内省御料局の所管になる。 pic.twitter.com/e8lFXdeNBR
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このように長年、権力者の直営だった生野鉱山だが、1896(明治29)年に三菱に払い下げられて民間の経営に移行。1973(昭和48)年、資源の枯渇により閉山し、鉱山として数百年間の歴史に幕が下りる。翌1974(昭和49)年、史跡 生野銀山という観光施設として開業。現在に至る。 pic.twitter.com/GJ2KPByv1Q
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生野鉱山は銀山として有名だが、銀以外の銅、鉛、亜鉛などの各種非鉄金属も産出した。その種類は70種にも及ぶとのこと。 pic.twitter.com/T7naFOT1qV
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御雇外国人でフランスから招聘されたジャン=フランソワ コアニエの胸像。1868〜77(明治元〜10)年まで生野鉱山で技術指導を行い、近代化に貢献した。彼以外にも複数のフランス人が生野鉱山に関わっている。 pic.twitter.com/YT5fDm0vUH
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生野鉱山の坑道の総延長は350km以上にも及ぶ。そのうち1kmほどが観光坑道として公開されている。写真左の金香瀬(かながせ)坑という坑口が入り口で、右の滝間歩(たきまぶ)坑が出口になっている。間歩とは坑道の昔の呼び方。 pic.twitter.com/TV2mL9eAm7
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金香瀬坑はコアニエの赴任していた明治初期に開坑した。石の積み方に装飾性がうかがえるが、要石(キーストーン)に装飾が無いのはやや意外。 pic.twitter.com/N51kB8wOYy
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この扁額は後年に貼り付けたものだと思う。それと、坑口の上に祠が載っている例は初めて見た。 pic.twitter.com/vzVRPEzUFr
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金香瀬坑の古写真。旧生野鉱山職員舎宅の展示物から。撮影時期未確認。このように現役時代は鉄道(トロッコ列車)で鉱石を運搬していた。 pic.twitter.com/rXOoWuDnDT
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滝間歩坑。現在の状態は復元。上部の木材は鳥居を表すらしい。前述の祠もそうだが、このような形で安全を祈願したということは、それだけ危険な職場だったことを示している。 pic.twitter.com/S5exwsHsTY
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滝間歩は1500年代という最初期の坑道だが、明治以降も利用されていたようだ(前掲写真にレールが写っている)。また、マネキンは昔の採掘の様子を再現したもの。こういうマネキンが坑内に数多く設置されている。 pic.twitter.com/TfOt80LkhT
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生野鉱山の坑道。荒々しい素掘りの壁と狭く曲がりくねった坑道が延々と続く。私は池島炭鉱(長崎市)の内部に入ったことがあるけど、そこで見た幅が広くて直線的な坑道とは全然違うね。 pic.twitter.com/AsyczzLoPk
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生野鉱山のユニークなところは、近世から近現代に至る変遷が見られること。各時代の採掘の様子をマネキンや本物の設備を使って分かりやすく解説している。 pic.twitter.com/5oHyK3RE3P
— タケ@ALL-A (@take_all_a) 2019年4月12日
しかもこのマネキン、全員が無駄にイケメンだ。江戸時代の再現のはずなのに、顔の彫りが深くて日本人には見えないw おそらく観光坑道のオープン当時はこういうマネキンが一般的だったのだろう。 pic.twitter.com/2UZT3Ls9n4
— タケ@ALL-A (@take_all_a) 2019年4月12日
余談。このミスマッチを逆手にとり、「GINZAN BOYZ」というアイドルグループに仕立てて売り出している。数十体のマネキンにプロフィールとサインを設定するという凝りようだ。公式サイト https://t.co/Wo75StzVL9 pic.twitter.com/1OWhKWm4C6
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生野鉱山の続き。近現代と近世に掘られた坑道が複雑に交錯している。人力で掘削した昔の狭い坑道を「狸掘(たぬきぼり)」と呼ぶ。因みにこの用語は現代の土木業界でも使われている。 pic.twitter.com/DTB7S68q8M
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狸掘の穴を覗くとここにもイケメンのマネキンがいた。彼が持っているのはサザエの貝殻に菜種油を入れたランプだ。生野鉱山では明治5年までこのランプを使っていた。 pic.twitter.com/uuNbc326Zh
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唐箕(とうみ)は脱穀した穀物から藁屑などを風で吹き飛ばす農具。昔は坑内に空気を送り込む人力の送風機としてこれを使っていたようだ。しかし坑道が深くなれば換気には竪穴が必要だろうと思っていたら… pic.twitter.com/kD0uy0nofn
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ちゃんと竪穴(竪坑)もあった。 pic.twitter.com/0iJLSto7XP
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現代の掘削作業を再現したマネキンもいる。上向きの削岩は炭鉱の世界ではあまり見たことないなあ。 pic.twitter.com/9QHNAIAYil
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砕石を運搬するトロッコ列車。牽引は蓄電池式電気機関車(バッテリーロコ)。 pic.twitter.com/eLfrHOOZPl
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図示されれば、色の異なる筋が入っていることが何となく分かる。岩盤に含まれるこのような薄い鉱脈を探し当てて採掘した。 pic.twitter.com/EvtYm1LHIO
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シュリンケージという方法で採掘した跡。 pic.twitter.com/wE4Qt2S5il
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シュリンケージ採掘法の図解。岩盤に急角度で入っている鉱脈を、下に掘った水平坑道に掻き落とし、トロッコに積んで竪坑で巻き揚げた。 pic.twitter.com/yBnRdBzvCN
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鉱脈だけを採掘した結果、地中にこういう隙間が残る。 pic.twitter.com/D7LUvcyYyq
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鉱脈の幅はおおむね70cm。銀、鉛、亜鉛の含有量はご覧の通り。 pic.twitter.com/olQh4PyxI6
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トロッコや人車を載せたケージを上下に移動させる巻揚機。基本構造はエレベーターと同じ。ところで、なぜこんなサイケデリックな光景になっているのかというと… pic.twitter.com/VC9njHTDRo
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これも #鉱山と道の芸術祭 の一環で、長谷川章による「D-K Live in Ikuno」という作品。長谷川氏は、建築物や産業遺産などにプロジェクターで幻想的な光景を投影するデジタル掛け軸というアートプロジェクトを各地で行っている。 pic.twitter.com/Ozzj4kVRM3
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少々見づらいが、巨大なドラムと左上に延びるワイヤーロープが分かるだろうか。 pic.twitter.com/Cwb1lg1xne
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岩盤をくり抜いた空洞にワイヤーロープが通っている。見学はできないがこの先にヘッドシープと呼ばれる大きな滑車がある。 pic.twitter.com/UwDE0J5MJw
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生野鉱山の立坑(竪坑)のひとつ「光栄立坑」。近づくことはできない。ケージ(カゴ)が停まっているのが分かるだろうか。前述の巻揚機はこれを動かすもの。 pic.twitter.com/gloNk0AiiJ
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生野鉱山の坑内外断面図。坑道が縦横に延びていることが分かる。見学できる範囲は「●現在地」と書かれた最上層のごく一部のみ。 pic.twitter.com/odsi0kd7gF
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これは三池炭鉱万田坑(熊本県荒尾市、世界遺産)の竪坑櫓と巻揚機室。炭鉱における竪坑は一般的にこういう外観である。つまり生野鉱山の場合、櫓や建屋が存在せず、システム一式が岩盤の中に収まっているというわけ。これに気付いたときは唖然としたよ。 pic.twitter.com/bQbieGeNMf
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ここで万田坑を例に挙げたのは理由があって、長谷川章氏は毎年11月に万田坑でもデジタル掛軸のイベントを行っている。隣県なのに実は未だに見たことがなくて、兵庫県で先に観賞することになるとは思わなかった。今年こそ万田坑に行きたい。
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観光坑道の出口である滝間歩坑の坑口付近。昨夜述べたように近現代でも利用していたらしく、トロッコのレールが残っている。 pic.twitter.com/ABgQiaxgmk
— タケ@ALL-A (@take_all_a) 2019年4月13日
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